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光化学反応光化学実験装置

紫外線(UV)ランプを光源とする卓上型光化学実験装置です。
光源には、高圧水銀ランプと低圧水銀ランプが主に使われます。将来はUV LEDやXeエキシマランプも登場します。UV LEDはマイクロリアクターの点光源として適しています。
高圧水銀ランプは表1に示す波長区分のUVA・UVB・UVCすべての広い領域の紫外線と可視光や赤外線を発光します。低圧水銀ランプのスペクトルは、基本的に高圧水銀ランプと同じですが、発光エネルギーの90%が185nmと254nmのUVCに集中している特異な光源です。

表1UVの波長区分とエネルギーの大きさ

  X線

紫外線(UV)

可視光 赤外線
UVC UVB UVA
波長(nm)

100

280 315 400 780  
E(kJ/mol) 1196 427 380 299 153  
E(eV) 12.4 4.4 3.9 3.1 1.6  

実験用光源ユニットと反応容器のセット

光化学実験装置のセットは、ガラス反応容器・UVランプ・電源・水冷ランプ保護管・TN共通摺合せガラス平栓(4ケ)・反応容器固定バンドで、構成されています(表2、3、4、5参照)。
光化学の実験のためには、その他に多くの補助機材、例えば温度計、マグネットスターラー、スタンドや種々のTN共通摺りガラス部品などが必要ですが、これらは広く市販されており、お客様がほとんどお持ちになっているので、標準セットから外しています。
ガラス反応容器の底は、マグネットスターラーの回転子が容器底の中心で安定して回転出来るように、底はフラットもしくは少し外へふくらんでいるので、反応容器は自立しません。そのためにスタンドと図6に示す容器固定バンドが必要なので、固定バンドの方は、特注品なので標準機材に加えています。
従来の100Wの高圧水銀ランプ(HL100CH4)は、周囲温度が高い環境では寿命が短い欠点があったので、廃番にしていましたが、この度、石英ガラス二重
管ランプHL100GCに改良し、再登場させました。
価格は従来ランプ(HL100CH4)と同じです。因みにこのランプは弊社のヒットブランド品のUV硬化光源“Handycure100”に使われる発光管と同じで、長い実績がある製品です。

光化学実験装置標準セット一覧表

表2.光化学実験装置VG1500/高圧水銀ランプ400W SETの標準装備

  品名 型式 定格 数量
VG1500/HPL400 SET ガラス反応容器
(Pyrex glass)
VG1500 総容量:2000mℓ
標準容量:1500mℓ
高圧水銀ランプ HL400BH-8 ランプワット数400W
単位光長ワット数50W/cm
電源 HB400P-1 入力100V,50/60Hz 指定
水冷保護管 JW-2Q 石英ガラス
, 内径φ30, TS60/50
容器固定バンド VH130 外径:φ130mm, 可変、SUS製
ガラス補助部品 TS15/35 ガラス平栓

4

表3.光化学実験装置(VG 500/高圧水銀ランプ400W SET)の標準装備

  品名 型式 定格 数量
VG500/HPL400 SET ガラス反応容器
(Pyrex glass)
VG500 総容量:800mℓ
標準容量:500mℓ
高圧水銀ランプ HL400BH-8 ランプワット数:400W
単位光長ワット数:50W/cm
電源 HB400P-1 入力100V,50/60Hz 指定
水冷保護管 JW-2Q 石英ガラス
, 内径:φ30, TS60/50
容器固定バンド VH80 外径:φ80mm, 可変、SUS製
ガラス部品 TS15/35 ガラス平栓

4

表4.光化学実験装置(VG300/高圧水銀ランプ100W SET)の標準装備

  品名 型式 定格 数量

VG300/HPL100 SET

ガラス反応容器
(Pyrex glass)
VG300 総容量:mℓ
標準容量:mℓ:300
高圧水銀ランプ HL100G(H/L) ランプワット数:100W
単位光長ワット数:30W/cm
電源 HB100P-1(5/6) 入力100V,50/60Hz 指定
水冷保護管 JW-1Q 石英ガラス
, 内径:φ30, TS60/50
容器固定バンド VH300 内径:
ガラス補助部品 TS15/35 ガラス平栓

4

表5.光化学実験装置(VG500/高圧水銀ランプ20W SET)の標準装備

  品名 型式 定格 数量

VG500/LPL20 SET

ガラス反応容器
(Pyrex glass)
VG500 総容量:800mℓ
標準容量:500mℓ
低圧水銀ランプ UVL20PH-6 ランプワット数:20W
電源 UVB-20C 100V,50・60Hz共用
水冷保護管 JW-2Q 石英ガラス
, 内径:φ30, TS60/50
容器固定バンド VH80 SUS、φ80㎜、可変、SUS
ガラス補助部品 TS15/35 ガラス平栓

4

共通摺合せガラスは、ガラス面にグリースなどが塗布されていないと、スリ面同士が固着する事故が起こります。しかしグリースは化学実験には好まれません。グリースの代わりに写真に示すように、フッ素系シールテープを23周程度巻くと、固着事故は防げます。フッ素テープはグリースのように溶けて流れません。

高圧水銀ランプ光源の定格

型名 電気定格 寸法定格 備考
ランプ
W数
(W)
単位長
W数
(W/㎝)
ランプ 全長
(㎜)
発光長(㎜) 外径(㎜)
電流(A) 電圧(V) ランプ 外管
HL100G
L1
100 40 1.0 115   25     二重管
HL100CH
4
100 33 1.0 115 170 30 13   廃盤
HL400BH
8
400 50 3.3 130 220 80 20   一重管
HL400J 400

50

3.3 130   80   36 二重管
HL1000J 1000 80 8.3     120   42
HL2000J-
3
2000 80 7.7 265 490 240   42
HL2100J
-X
2100 30 3.0 800   700    

 

HL
4000-X
4000 80 3.0 1370   500    

既成の実験補助器具について

市場ではガラス反応容器を支えるスタンド、磁気攪拌装置や各種ガラス補助機器は、日常、皆様が取引きされている理化学機器取扱店やカタログ販社から容易に調達できるので、ご購入は馴染みの取扱店から調達されることをお勧めいたします。特にガラス補助部材は、反応容器に都合よく納まる様に、適当な修正加工を要することが多く、価格も千円台のものが多いので、特に海外からのご要望にはお応えするのは困難です。ステンレス製容器固定バンドは適当なものが市場で入手し難いので、これは弊社で準備させて頂いております。
ご利用になる電源入力が100V以外の場合は、カタログ末尾に記載されているアダプター(電圧変換器)をご利用になれば、ほぼ世界中で実験機を使えます。

実用ラインのための高ワット光源及び実用光化学反応装置

小形生産装置の画像一例です。左端の反応容器は使用目的ごとに異なりますが、光源の仕様は表5に示されているように規格化されています。過去にはナイロンの原料のカプロラクタムを生産するために1本100kWという巨大なランプが造られていましたが(東芝製、今は生産量が多い場合は2kW前後のランプを何本も使うシステムが流行っています。理由は主に操作性と安全対策が原因です。

Adapter入力電圧変換トランス

Model InputV(V-AC) Output(V-AC) Capacity(VA) Dimension(㎜) Weight(Kg)
PAL-150A 110~130 100 150 90W×120D×90H ~1.25
PAL-150E 220~230 100 150 90W×120D×90H ~1.7
PAL-150I 240 100 150 90W×120D×90H ~1.7
PAL-350A 110~130 100 350 110W×150D×140H ~2.3
PAL-350E 220~230 100 350 110W×150D×140H ~3.7
PAL-350I 240 100 350 110W×150D×140H ~3.7
PAL-500A 110~130 100 510 110W×150D×140H ~3.8
PAL-500EP 220~230 100 510 70W×170D×120H ~3.3
PAL-500IP 240 100 510 70W×170D×120H ~3.3
PAL-1000AP 110~130 100 1k 130W×195D×135H ~5.0
PAL-1000EP 220~230 100 1k 80W×175D×135H ~5.0
PAL-1000IP 240 100 1k 80W×175D×135H ~5.0
PAL-1500AP 110~130 100 1.5k 130W×195D×135H ~7.0
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