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環境・衛生オゾンの安全管理

オゾン濃度の安全性と危険性

 オゾンは酸化力の強い気体で様々な有益な効果がありますが、生体には有害でもあるので、安全を守りながら効果を活かすには、オゾン濃度と害の関係をよく理解して、濃度管理を的確にすることが大切です。オゾン濃度の効果及び危険性の関係を表1に示します。

 労働環境におけるオゾンの安全基準は、日本産業衛生学会・許容濃度委員会によりガイドラインが定められています。その値は米国産業衛生専門官会議(ACGIH)が定めたものに準じています。安全管理に必要な範囲のオゾン濃度は、ガス検知管式の濃度計で測定できます。

 

表1.オゾン濃度とその特性

濃度(ppm) 特性(効果と弊害)
0.02 ~ 0.05

個人差があるが、この濃度を下回るとオゾン臭がしない。

0.05ppmは8時間労働でも許容値なので安全といえる。

オゾン臭がしない時は確実に安全なので、嗅覚も優れた安全モニターとなる。

0.05~ 0.1

ACGIH2001における8時間労働の許容濃度

重労働 - 0.05ppm

普通労働 - 0.08ppm

軽作業 - 0.10ppm

0.2 ACGIH2001における重労働、軽作業含め2時間以内
0.5 健康な人が臨時に1時間以内の短時間の作業をする場合、この濃度以下であれば心配はありません。しかし、オゾンガスは鼻やのどに刺激を与え、ひどくなると頭痛、胸部痛、気道の渇き、咳の症状が起こるので、活性炭付きマスクの着用が好ましい。
0.5 ~ 1.0 この濃度で1週間以上オゾンを適用すると、室内殺菌、脱臭やゴキブリ忌避1)の効果がある
10 数十分で呼吸困難、肺水腫、昏睡状態になることもある
40 ホルマリンガスと同等の殺菌効果があり、無菌病棟の消毒に使われている2)。引用文献によると1時間の稼働で殺菌効果が得られるとのこと
~ 200 紫外線式発生式オゾン装置の原料ガスを空気とする場合の平均的オゾン濃度。無声放電方式の約200分の1の濃度
20,000 (~40g/N㎥) 無声放電式のオゾン発生装置の原料ガスを空気とした場合のオゾン濃度

1)特開昭62-215509, 名称:ゴキブリの駆除方法, 出願人:大木茂雄

2)正岡 徹, ”大阪成人病センターにおける無菌病室” 成人病, 20(1), 15-21, 1979

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